関町ニューウエスタン

⑤保護者の負担を最小限にする理由

 

【前文】

 少年野球のマイナスイメージの1つに、保護者の当番がある。希望してチームのサポートをする人には問題ないが、負担を重く感じる人も少なくない。東京都練馬区で活動する関町ニューウエスタンでは、保護者の役割を最小限にしている。また、野球を始める際のハードルになっている初期費用の負担を減らすため、野球用具の無償提供もしている。

 

【本文】

 子どもが少年野球チームに入れば、少なからず保護者の協力が必要になる。少年野球には、保護者が練習に丸一日同行し、チームをサポートする役割が与えられるイメージがある。実際、お茶出しや送迎、試合のアナウンスやスコア付けなど保護者の当番が多岐に渡るチームもある。

 

チームに携わることを苦にしない人がいる一方、仕事や育児などで練習に参加できず、当番を負担に感じる人もいる。関町ニューウエスタンを選んだ親子の中には、チームが掲げる理念「ご家庭の負担は最小限」に惹かれた保護者もいるという。

 

チームで唯一ともいえる保護者の当番は、夏場の救護。ローテーションで毎回1人が練習に参加し、子どもたちが熱中症にならないように見守る。石川誠監督は「練習が日曜の半日だけという点と、保護者の負担が少ないところが、うちチームを選んだ決め手になった人は多いです。他のチームにはない特徴なので、子どもや保護者の選択肢になると考えています」と語る。

 

 関町ニューウエスタンは45年前に立ち上げられた。当時から、監督やコーチにお茶や弁当を出す保護者の当番はなかった。チーム創設時はコーチを務め、長年監督もしていた尾崎晋代表は「当番が苦になる保護者もいます。それから、保護者によってチームへの関わり方に差があると、えこひいきが生じる場合があります」と理由を説明する。

 

 金銭面でも保護者の負担を軽減している。野球を始めると、バットやグラブ、ユニホームにスパイクなど多くの用具が必要で、初期費用は決して安くない。子どもが野球に興味を持っても、保護者がためらう理由にもなっている。

 

 そこで、チームは代々、OBがユニホームやストッキング、スパイクなどをチームに残し、必要な子どもたちに無償で提供している。グラブやバットはチームで保有しているものを貸し出し、帽子は練習体験に来た子どもにもプレゼントしている。

 

 保護者の存在なくして、子どもたちは野球を楽しめない。だからこそ、関町ニューウエスタンは保護者にも目を向けた理念を掲げている。

 

(間 淳/Jun Aida

 

>「メディア掲載記事」に戻る