関町ニューウエスタン

⑥少年野球における礼儀

 

【前文】

 少年野球においても挨拶や礼儀は大切。ただ、過剰な意識は必要ないと考えている。45年前に創設した当初から独自の理念を掲げている少年野球チーム「関町ニューウエスタン」は、周囲に感謝する心を育む指導を心掛けている。

 

【本文】

 東京都練馬区で活動する関町ニューウエスタンは1977年に発足した。怒声罵声の禁止や短時間練習、保護者の負担は最小限といったチーム理念は当時から変わっていない。

 

 チームには「リスペクトする心を育む」という理念もある。技術以外にも野球を通じて子どもたちに学んでほしいことがあると考えている。ただ、挨拶や礼儀は「過剰に意識する必要はありません。大切なのは形ではなく気持ちです」と石川誠監督は言う。

 

「野球をしていなくても、最低限の礼儀や挨拶は必要です。人によって考え方の違いはありますが、野球ならではの『ちわっす』という挨拶や、きっちり手と足を合わせる開会式の入場行進などは必要ないと感じています。五輪の開会式で選手が楽しそうに手を振って入場するような方法で良いのではないかと考えています」

 

 石川監督らチームの指導者は「道具を大切にする」、「周りの人には挨拶する」といった礼儀を子どもたちに伝える。だが、細かな礼儀の指導よりも、「リスペクトする心」と「感謝の気持ち」を大切にしている。石川監督が理由を説明する。

 

「人数が集まらなければ、練習も試合もできません。試合は審判やグラウンド整備、様々な人たちにサポートしてもらっています。子どもたちには相手チームや周りの大人に感謝する心を忘れないでほしいですし、全力で戦うのが礼儀だと思っています」

 

 グラウンド外でも、感謝の気持ちを表している。子どもたちは年に数回、普段練習する小学校の周りを清掃している。練習を30分から1時間早く切り上げてゴミを拾う。チーム創設時からコーチや監督を歴任してきた尾崎晋代表は「子どもたちが練習できるのは、地域の方の理解や協力があるからです。少しでも恩返しをしたいと考えていました。子どもたちにゴミのポイ捨てはしないようにと伝える機会にもなります」と話す。

 

 挨拶や礼儀は大切だが、目的ではない。関町ニューウエスタンでは、相手への敬意や感謝の気持ちを伝える手段と考えている。

 

(間 淳/Jun Aida

 

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